現役の薬剤師のプジキです。
- 服薬フォローってどんな患者さんに対して行えばいいの?
- 何を使ってどんなタイミングでフォローすればいいんだろう。
- 薬局でルールを作ろうと思うけど、どんな点に注意すればよいんだろう。
- 服薬フォローって患者さんに喜ばれるの?
こういった悩みに、答えて行きます。
2019年11月27日、薬機法を含む各種法律が改正されることが決定となり、法改正のなかの1つに『服薬フォロー』が含まれました。
これ、「具体的に誰に何をどうやって行えばよい?」のか、けっこう悩むところだと思う。
自分の薬局では、2019年の4月ごろから服薬フォローを導入してみて、どんな方法で実施するのが最適なのか試行錯誤してきた。
実際に行った中から分かった問題点を元に、服薬フォローをする上で必要なポイントをまとめる。
- 『どんな患者にどんな方法でフォローするのか』の全体の流れ
- 服薬フォローする上での5つの注意点
- 患者さんの反応
これから紹介する5つの注意点を元に薬局内で服薬フォローのルールを作ってもらえば、患者さんからのクレームやスタッフの疲弊を防ぎつつ、問題なく開始できるかと思います。
服薬フォローのやり方に悩むあなたは、ぜひ参考にしてみてください。
も く じ
【事前確認】服薬フォローの条文
服薬フォローの方法について説明を始める前に、2019年11月に決定した服薬フォローの条文を確認しておきましょう。
▼薬機法
ウ 薬局開設者は、薬剤等の適正な使用のため必要がある場合には、その薬局の薬剤師に、薬剤等の購入者等の当該薬剤等の使用状況を継続的に把握させるとともに、当該購入者等に対して必要な情報を提供させ、又は必要な薬学的知見に基づく指導を行わせなければならないものとすること。(第9条の4第5項及び第36条の4第5項関係)
▼薬剤師法
(1)薬剤師は、薬剤の適正使用のため必要と認めるときは、薬剤の購入者等の当該薬剤の使用状況を継続的に把握するとともに、当該購入者等に対して必要な情報を提供し、又は必要な薬学的知見に基づく指導を行わなければならないものとすること。(第25条の2第2項関係)
上記のように、薬剤師が必要と判断した場合、継続的に使用状況を確認することが盛り込まれたんですね。
『行わなければならない』と義務の表記となっていることには注意したい。
服薬フォローの5つの注意点
服薬フォローは、次の5つのポイントに注意しながらルールを作りましょう。
- フォロー対象者の選び方
- フォロー対象者への事前説明
- フォローのタイミング
- フォローの手段
- フォロー内容の共有
上記に対して、早めに薬局内でルールを構築してしまうことが、フォロー開始になったときに焦らないコツ。
具体的に注意しなければならない点について、我が薬局の実体験をもとに解説します。
①フォロー対象者の選び方
まず、どんな患者に対してフォローするのか、選定基準を決めましょう。
なぜなら、いきなりフォローを指示しても、『どんな状態の人をフォローすれば良いのか』最初は分からないので、スタッフに混乱をきたす。
また、少しフォローに慣れてきた段階にきて、薬剤師の基準に任せすぎると、対象者にバラツキが出てしまう。
これらの問題を防ぐため、対象者とフォローする内容について、ある程度の指標を示す必要がある。例えば以下。
- 新患
- 急性疾患
- 慢性疾患の薬剤変更
- ハイリスク薬
- 認知症、認知症の疑い
- コンプライアンス不良
例えば新患であれば、初めて服用する薬で問題が起きてないか、体調は改善したか否か、といったフォローをする。
慢性患者の薬剤変更であれば、変更内容によって薬剤の副作用が起きていないか、体調は安定しているのか、などを確認する。
こんな風に書くと、「あれ、服薬指導で聞いてる内容じゃん?」と感じるでしょう。
そうなんです。次回の服薬指導で確認したい内容を、服用期間中に確認することがフォローなんです。
体調や薬剤に対して変化があった患者やコンプライアンス不良の患者など、次の指導時に確認しやすいネタがある患者を対象にしましょう。
うちの薬局では『服薬フォロー=服薬指導の延長』と定義しています。
あと、対象者のルールを作るポイントとしては「ルールで決めた患者だけフォローする」としないこと。
ガチガチのルールにすると、ルール外の人にフォローしなくなるから。
良くも悪くも、薬剤師は真面目な人が多いよね。
②フォロー対象者への事前説明
服薬指導の際に「確認のために連絡します」という事前の同意を取りましょう。
これ、、すごく大事。いきなり電話すると怒られるケースがある。というか、怒られました。
今まで「薬を渡されたあとに状況を確認する電話がかかってくる」という常識がなかったので、急に「調子どうですか?」と電話しても「そんなことでいちいち電話してくるな!」とお怒りのお言葉をもらってしまいました。
先ほどの①で選んだフォロー対象者に対し、投薬時に「○○さんに今回処方された✕✕の薬について状況を確認したいので、2週間後ぐらいにご連絡しても良いですか?」と伝えよう。
それでOKもらった場合にのみ、フォローするというルールにするのが無難。
フォロー可否の確認は、口頭だけでなく、紙で渡してもよい。他の薬局では事前説明も兼ねて、「いつ誰がフォローの電話をする」という内容をまとめた書面を渡すところもあると聞いた。
とにかく、事前に確認することはめっちゃ大事。
③フォローのタイミング
これは2つの意味合いで注意する。
- 来局してから何日後にフォローするか
- 連絡可能な時間帯はいつか
1に関しては、どんな内容のフォローを行うのかによって、最適な時期は変わる。
例えば、新しい薬が追加になり、即時性(アレルギー的な)の副作用について確認したいのであれば、来局してから2〜3日後にフォローする。
コンプライアンスの不良であれば、10日〜2週間後あたりに連絡する、といった感じだ。
2に関してもきちんと聞いておく必要がある。
特に、患者さんが現役でお仕事をされている場合、平日と休日に分けて連絡する時間帯を確認しておこう。
逆の立場になって考えると、仕事の忙しい時間帯に連絡をもらっても、、、という感じですよね。
必ず上記2点のタイミングを確認しておきましょう。
④フォローの手段
うちの薬局で利用していた手段は、電話、メール、チャット(LINE)の3通りです。
仕事で忙しい人は、電話よりもメール、チャットを好んで選ばれました。逆に高齢者になると、圧倒的に電話を希望しますね。
服薬フォローというのは、患者の服薬治療をサポートする道具でしかない。せっかくサポートしようと患者に訴えかけても、声が届かなければ意味がない。
患者さんに声を伝えるため、それぞれに適した連絡方法でフォローすることが重要だ。
※2020年4月追記
特定薬剤管理指導加算2の算定要件では、服薬フォローの手段として「電話」を使うことと規定されました。。
あと、従業員にとってもフォローの方法は大事だったりする。
というのも、スタッフについても年齢によってフォローの手段に対する好き嫌いがあった。
若いスタッフは電話をかけることが苦手という人が多く、Lineを利用したフォローを好む傾向にあった。
患者・スタッフ共に、フォローの手段に幅を持たせておくことは有意義です。
⑤フォロー内容の共有
最後に決めておくことは、フォロー担当者とフォローする内容の共有方法だ。
うちの薬局では基本的に、投薬した薬剤師がフォローすることになるが、かかりつけを算定している患者に対しては、投薬した薬剤師にかかわらず、かかりつけ薬剤師がフォローするルールとした。
ただ、フォロー予定日に担当者が急な休みで出勤しない場合もあり、その場合は薬局長がフォローする仕組みにしている。
このように担当が休んでしまった場合を想定すると、「いつ誰にどんな内容をフォローするのか」をスタッフ全員が共有しておく必要があるのだ。
共有方法としては、「フォロー予定表」といった簡単な予定表を作成し、そこにフォロー予定者を記載しておき、調剤室のカレンダーに貼って管理した。
急な休み以外にも、フォローの約束をしている中でのフォロー忘れを防止する目的もある。
約束していた中でフォロー連絡をすっぽかすと、患者さんとの信頼関係にヒビが入りかねない。
さまざまなケースにおいてフォロー漏れが起きないよう、皆で共有するようにしましょう。
服薬フォローに対する患者さんの反応
だいたいの患者さんから、「安心した」とか「気になることが解消できた」など、プラスの反応を貰えることが多かったです。
正確な数値として収集していないので具体的な割合は把握できていないんですけど、肌感覚としては8割以上の患者さんから前向きなお言葉を貰えたと思う。
残り2割は淡々とした対応という感じですね。先ほどのルールを守ってからは、怒る患者さんには遭遇していないです。
あと嬉しかったのは、服薬フォローをきっかけにかかりつけ算定につながったり、他で調剤してもらっていた処方箋を持ちこんでくれたり、経営的にもプラスに働いたこと。
こういった収益UPがあると、頑張ってくれたスタッフに対する対価としても還元できるので、けっこう本気で服薬フォローに取り組んで良かったと思ってます。
まとめ
最後に5つの注意点をまとめます。
- フォロー対象者の選び方
- フォロー対象者への事前説明
- フォローのタイミング
- フォローの手段
- フォロー内容の共有
服薬フォローは服薬指導の延長で、患者さんの服薬治療をより安全にするための方法。
経営的にもプラスに働くし、なによりも患者さんに喜んでもらえるという薬剤師冥利にもつきるので、肩肘はらずにぜひ取り組んでみてください(و`ω´)و
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【答え】継続的な勉強
2019年5月に厚労省が出した薬剤師の需要と供給についてのレポートをご存知ですか?
これ簡単に言うと『すでに薬剤師が余り出している』という内容が書いてある。需要を上回る数の薬剤師がいるそうだ。
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でも今はちがう。優秀な成績の薬剤師に絞り始めていて、成績が悪い薬剤師は採用しない。
この流れが、じわじわと中途採用にも来ています。なぜそんなこと分かるかというと、これでも薬剤師の採用を担当してますから、動向はチェックしてるのです。
薬剤師が飽和していく未来に対し、すこしでも質を高めて需要の高い人材となるため、ぜひ日々の勉強に役立ててください(و`ω´)و



















