2018年度の調剤報酬改定で、『基準調剤加算』が廃止され、新たに『地域支援体制加算』が新設される。
基準調剤加算:32点(廃止)
地域支援体制加算:35点(新設)
「どんな算定要件になるの?」という疑問に思うだろうので、地域支援体制加算の算定するための重要ポイントを以下にまとめる。
ちなみに、調剤基本料1かそうでないかで、天国と地獄ほどの違いがでそう。
算定要件は?
別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険薬局において調剤した場合には、地域支援体制加算として所定点数に35点を加算する。
施設基準は?
(1) 地域医療に貢献する体制を有することを示す相当の実績があること。(※)
1年に常勤薬剤師1人当たり、以下の全ての実績を有すること。
① 夜間・休日等の対応実績 400回
② 重複投薬・相互作用等防止加算等の実績 40回
③ 服用薬剤調整支援料の実績 1回
④ 単一建物診療患者が1 人の場合の在宅薬剤管理の実績 12回
⑤ 服薬情報等提供料の実績 60回
⑥ 麻薬指導管理加算の実績 10回
⑦ かかりつけ薬剤師指導料等の実績 40回
⑧ 外来服薬支援料の実績 12回
(2) 患者ごとに、適切な薬学的管理を行い、かつ、服薬指導を行っていること。
(3) 患者の求めに応じて、投薬に係る薬剤に関する情報を提供していること。
(4) 一定時間以上開局していること。
(5) 十分な数の医薬品を備蓄していること。
(6) 適切な薬学的管理及び服薬指導を行うにつき必要な体制及び機能が整備されており、患者に対し在宅に係る当該薬局の体制の情報を提供していること。
(7) 当該保険薬局のみ又は当該保険薬局を含む連携する近隣の保険薬局において、24 時間調剤並びに在宅患者に対する薬学的管理及び服薬指導を行うにつき必要な体制が整備されていること。
(8) 当該地域において、在宅療養の支援に係る診療所又は病院及び訪問看護ステーションとの連携体制が整備されていること。
(9) 当該地域において、他の保健医療サービス及び福祉サービスとの連携調整を担当する者との連携体制が整備されていること。
(10) 当該保険薬局以外の医療従事者等に対し、医薬品に係る医療安全に資する情報の共有を行うにつき必要な体制が整備され、一定の実績を有していること。
(11) 特定の保険医療機関に係る処方箋による調剤の割合が8割5分を超える場合にあっては、当該保険薬局において調剤した後発医薬品のある先発医薬品及び後発医薬品を合算した規格単位数量に占める後発医薬品の規格単位数量の割合が5割以上であること。
(12) 区分番号00 の1に掲げる調剤基本料1を算定している保険薬局については、下記の基準を全て満たすこととし、(1)を適用しない。
- 麻薬及び向精神薬取締法(昭和二十八年法律第十四号)第三条の規定による麻薬小売業者の免許を受けていること。
- 在宅患者に対する薬学的管理及び指導について、実績を有していること。
- かかりつけ薬剤師指導料又はかかりつけ薬剤師包括管理料に係る届出を行っていること。
算定のポイントは?
施設基準(1)の『地域医療に貢献する体制を有することを示す相当実績があること』がめっちゃ厳しい。 ただ、調剤基本料1を算定していれば(1)の要件は不要なので、単店(小規模)は大丈夫。チェーンはヤバい。
まず、1年間の常勤薬剤師1人当たりに実績を求めている所がヤバい。例えば、大病院門前の薬局で常勤薬剤師が10人とか登録してたら、単純に10倍の実績が求められる。
例えば夜間・休日等加算。 1人あたり400回の実績なので10人登録していると4,000回の算定実績が必要。 土曜の午後や日曜も営業してる病院の門前とかじゃないと、無理でしょ。。
他にはどんな実績が必要なのか個別に見てみると、③、⑤、⑧あたりが厳しい。
③の服用薬剤調整支援料は2018年度から新設される要件で、簡単に説明すると「6種類以上の内服薬の処方に文書で減薬を提案し、2種類以上減ったら、月1回だけ125点を算定可能」という加算。詳しくはコチラ↓
関連記事『服用薬剤調整支援料』とは?点数や算定内容・ポイントは?
⑤の服用情報等提供料は、いま(2016年度)も薬学管理料の1つとして存在はしてるけど、、、算定したことのある薬局ってめっちゃ少ないでしょ。 ちなみに、この算定の要件も2018年から変わる。
⑧の外来服薬支援料も、、、算定したことありますか?(汗) これ、超簡単にいうと患者宅にあるほかで交付された薬を一包化することでとれる点数のこと。
残薬調整を依頼されることは結構あるだろうけど、この算定をきちんと取っている薬局ってどの程度あるんでしょうね?
外来服薬支援料の算定要件を詳しく知りたい方は、Twitterフレンドのスーパー調剤事務「ジム子さん」のブログ『調剤事務の仕事』に詳しく書いてあるので、参考にしてみてください。
・・・ちなみに『超簡単にいうと~』のくだりも、ジム子さんのブログを丸パクりしました(ゴメンナサイ)
参考:外来服薬支援料の算定要件
とまぁ、ハードルが高すぎて算定を諦めたくなりますが、調剤基本料の1を算定しているなら、上記の(1)の内容は適用されない。
その場合は(12)の要件が必要になるのだが、『①麻薬免許を持ち、②在宅やってて、③かかりつけの届け出』をしてればOKと、先ほどの(1)に比べたら月とスッポンなほど簡単になる。
なので、調剤基本料1を算定できる薬局は、ぜひとも算定を狙って欲しい。 もちろんプジキの薬局でも狙っていきますよ!
まとめ
最初にも書いたけど、調剤基本料の1を算定しているか、そうでないか、というのが、地域支援体制加算を算定できるか否かのポイントになりそうです。
ちなみに、基準調剤加算はどれぐらい昔からある加算なのか調べてみたところ、どうやら平成18年(2006年)にはすでに調剤料として存在していた様子。(H20年疑義解釈で、H18年と施設基準がうんぬんって記事を発見)
参考日本薬剤師会 平成20年度疑義解釈
2018年度の新卒薬剤師と同い年(最低でも24年以上)という、歴史ある加算が無くなってしまうのかぁ、、とちょっぴりと寂しさを感じる、、、
なんてことはなく、
そんな暇があれば、新しい加算をしっかりと取るために各店舗の状況把握をしてるプジキです(カネノ亡者)
算定できるように、一緒に頑張りましょー!(و`ω´)و
関連する疑義解釈の一覧
疑義解釈 その1(平成30年3月30日)
問10
地域支援体制加算が新設され、基準調剤加算が廃止されたが、両加算で共通する施設基準については、その取り扱いに変更はないと解してよいか。また、平成30年3月31日において現に基準調剤加算を算定している保険薬局が、4月以降に地域支援体制加算を算定するため4月16日までに施設基準の届出を行う場合、基準調剤加算の施設基準と同一の要件であっても改めて関係書類を添付する必要があるか。(答)
変更ないものとして取り扱ってよい。また、改定前の基準調剤加算届出時の添付書類と内容に変更を生じていないものについては、改めて同じ書類を添付しなくても差し支えない。
問11
地域支援体制加算の地域医療に貢献する体制を有することを示す相当の実績のうち、(ト)の在宅患者訪問薬剤管理指導料等の単一建物診療患者が1人の場合の算定回数について、改定前の在宅患者訪問薬剤管理指導料等の同一建物居住者以外の場合の算定回数を含めてよいか。(答)
届出前の直近1年間に実施したものは含めて差し支えない。
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