薬局で働いていると、やれ薬機法だー、薬剤師法だー、○○施行規則だとか、はたまた厚労省から「■■に関する通知」など・・・、どんな違いがあるのか分からなくないですか!?
薬機法は『法律』なんだなぁということは流石にわかると思うけど、薬機法施工令もあるし、薬機法施行規則もあるし、何がどう違うのか、ぱっと答えられる薬剤師はすごく少ないと思う。
例えば、2017年の1月に起きたハーボニーの偽薬事件にまつわり厚労省から通知がいろいろと出ているけれど、『通知には法的効力がない』こと知ってましたか!?
個別指導を受けたときに、保健所の人に「あぁ、これはいけませんね。○○という通知に書いてあります。」的な苦い経験を持っている薬局の人も、「え、それって薬機法や施行規則の何条に書いてるんですか?」で論破できる。理論上は。(たてつくと酷い目に合うから、激しくおススメはしない)
ということで、法律・施行令・施行規則・通知といった業務上ふれる機会のあるものに対して、具体例を交えながら説明していきたいと思う。
これを読んで貰えれば、明日からインテリぶれる理論武装することができて、行政とやり取りするときの助けとなるはずなので、ぜひ押さえてもらいたいっ!!
それぞれの力関係ってどうなってるの?
法律、施行規則など、それぞれを作る(制定する)ところはどこなのか、法的な拘束力はどのようになっているのか、そしてどんな法律があるのか、という部分を比較していきたいと思う。
まずイメージが付きやすいように図解します↓
各法令の強さをピラミッドにしてみた。どこがそれを作るのか(制定先)、どんな言葉が入っているものが該当するのか、法的拘束力の有るのか、が分かるように作ったつもりっ法律・政令(施行令)・省令(施行規則)・通知・通達の違いについては、まずは上の図を頭にイメージしてもらいたい。
『法律』が一番上にあって、その下に『政令』、『省令』、『通知・通達』と続く力関係になっている。新たに作ったり内容を変えたりする難易度がハードモードなのが法律で、通知とかは簡単だからバンバン出る、といった感じ。
この力関係を頭に入れてもらうと理解が早いので、まずは雰囲気を押さえておこう。それでは、それぞれ具体的にみていこう。
法律・政令・省令・通知、何が違うの??
法律とは
最も最強なのが法律です。そして、作ったり変えたりすることもベリーハードモードなのがコイツです。
これは国会(衆議院、参議院の両議院)の議決で決まるものです。末尾に「~法」や「~法律」とついているものが法律になります。モチロン、法的拘束力ありです。 薬局・薬剤師関連や通常の業務になじみのある法律だと以下のものですね。
- 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(略:薬機法、医機法)
- 薬剤師法
- 麻薬及び向精神薬取締法
- 生活保護法
- 健康保険法
- 介護保険法
- (医療法)
- (医師法)
医療法や医師法を知っておくと、病院の先生と話す時やクリニックと関係性を作りたいときに何かと役立つので、余裕がある人は目を通しておいて損は無い。例えば、処方日数は14日が推奨されている、とかね。
政令とは
これは読んで字のごとく、政府が決めます。カッコよく言うと閣議決定。かみくだいて言うと、各省の大臣全員がOKですよとサインをして、政府全体で決定するもの。末尾に「~施行令」とか「~政令」とつくものが政令。
薬局・薬剤師関連や通常の業務になじみのある政令だと以下な感じ。
- 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行令
- 薬剤師法施行令
- 麻薬及び向精神薬取締法施行令
- 生活保護法施行令
- 健康保険法施行令
- 介護保険法施行令
- (医療法施行令)
- (医師法施行令)
賢明な読者の人は「法律の章で書いたやつに『施行令』をつけただけやないかーい!」と思ったことでしょうが、意図的にこんな風に書きました。 というのも、政令や次に書く省令というのは法律を補足するためのものなんです。
例えば、薬機法を補足するために作られた政令としては、以下の3法令があります。
- 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行令
- 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第十四条の三第一項の医薬品等を定める政令
- 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律関係手数料令
1以外はあまりなじみがないかもしれませんが、こんな風に法律を補足するためにたくさんの政令があります。 自分もこの記事のために調べるまで知らなかったー。。。
省令とは
こいつは、それぞれの省の大臣が決めます。 各省で決めたことを、大臣名義で発表してるわけですな。医療関係の省令と言えば厚生労働省、といったぐあいに、担当している省ごとに決めている。 これは末尾に「~施行規則」や「~省令」などとついているのが省令となる。
薬局・薬剤師関連や通常の業務になじみのある省令は、何となく予想つきそうだけどこんな感じ。
- 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則
- 薬剤師法施行規則
- 麻薬及び向精神薬取締法施行規則
- 生活保護法施行規則
- 健康保険法施行規則
- 介護保険法施行規則
- (医療法施行規則)
- (医師法施行規則)
そう、全部『規則』に変えただけ!
全部は調べてないけど、少なくとも薬局に関連する法律で定められてるものは、すべて省令(施行規則)まで出て細かな所まで補足されとるわけですな。
ちなみに、薬機法に絞った場合の省令としてはこんな感じ。
- 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則
- 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則第十二条第一項に規定する試験検査機関の登録に関する省令
- 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則第百十四条の四十九第一項第三号に規定する講習等を行う者の登録等に関する省令
- 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第二十三条の二の五第七項第一号に規定する医療機器又は体外診断用医薬品の区分を定める省令
- 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第二条第十五項に規定する指定薬物及び同法第七十六条の四に規定する医療等の用途を定める省令
- 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律関係手数料規則
省令(施行規則)にもなると、めっちゃある。 長すぎて、PCで入力するのも大変や(汗
通知・通達とは
最後に、通知通達について。これは、各省から都道府県知事への命令です。 行政どうしの『助言』に位置づけられるため、薬局や薬剤師を対象とはしていないんです。 なので、今まで見てきた法律・政令・省令に対して、通知・通達は直接的に薬局に対する法的拘束力は持たないんです!
具体例を見てみましょう。これは、とある問題に対して出された通知になります。
卸売販売業者及び薬局における記録及び管理の徹底について
1ページ目のタイトル下に書いてある、「~、留意事項を下記のとおり整理しましたので、貴管下の卸売販売業者及び薬局に徹底いただくようお願いいたします。」のとおり、あくまで行政に向けた命令なんです。 なので、直接的に薬局を縛るものでは無い。
ただ注意したいのは、受け取った通知の内容を法的拘束力として持たせるかどうかは、各都道府県に判断が任せられている。だから、通知に法的拘束力は無いけれど、守っておくに越したことは無い。 たぶんだけど、調剤報酬とかの判断基準が都道府県ごとに違うのも、この辺りが影響してそうな気がする。
法律・政令・省令・通知の違いまとめ
- 法律:国会が決める。「~法」、「~法律」
- 政令:政府が決める。「~施行令」、「~令」
- 省令:各省の大臣が決める。「~施行規則」、「~省令」
- 通知・通達:各省が決める。これだけ法的拘束力なし。
他にどんな法令があるのか知りたい人は、政府の法令検索サイトでキーワードを入力すると、関連した法令が出てくるので活用してみてください。
それぞれ違いを理解して、理論武装としての知識としていただけたら嬉しいです。 くれぐれも、薬局で知識をひけらかして、意識高い系と裏でコソコソ言われないように注意してくだされ。プジキのように(泣)
薬局に関する勉強に便利なサイト
最後に、私がブログを書くときの記事ネタを探したり、情報収集に活用しているサイトの『m3』をちょっとだけご紹介。
m3は、薬局に関連性のある最新情報を国内外問わずにまとめて確認できるため、効率的に知識を補えるので助かっている。
一例ですけど、こういった情報が毎日更新される↓

こう、非常に興味をひかれるコンテンツが豊富。それで、毎日更新される。 なので、毎朝の通勤時間でサッと記事のタイトルだけ見ておけば、「え、知らないの?」といった取り残されるリスクが無くなる。※アプリがあるので便利。
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なので、登録するか悩むぐらいなら、その悩んでる時間で登録完了する。
あと地味に嬉しいのは、サイト内の勉強動画を見ると『m3ポイント』なるものが貯まり、『Amazonギフト』と交換できる。情報収集しながらお小遣い稼ぎできるのが一石二鳥。
他の薬剤師向け情報サイトでは有料登録しないと読めないネタが、m3で掲載してることもあるので、登録して損は無いというか、「使わないのが損」な貴重なサイト。
すべての薬剤師に自信を持っておススメできるので、他の薬剤師に差をつけられる前にぜひ活用してみてください(و`ω´)و
公式サイトm3
【答え】継続的な勉強
2019年5月に厚労省が出した薬剤師の需要と供給についてのレポートをご存知ですか?
これ簡単に言うと『すでに薬剤師が余り出している』という内容が書いてある。需要を上回る数の薬剤師がいるそうだ。
突然ですが、最近の新卒の採用事情はご存知ですか?
調剤薬局やドラッグストアは、昔はそれこそ薬剤師の資格を持っていれば即採用というぐらい簡単でした。
でも今はちがう。優秀な成績の薬剤師に絞り始めていて、成績が悪い薬剤師は採用しない。
この流れが、じわじわと中途採用にも来ています。なぜそんなこと分かるかというと、これでも薬剤師の採用を担当してますから、動向はチェックしてるのです。
薬剤師が飽和していく未来に対し、すこしでも質を高めて需要の高い人材となるため、ぜひ日々の勉強に役立ててください(و`ω´)و


















