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『小児抗菌薬適正使用支援加算』とは?点数や算定要件・ポイントは?【2018年度調剤報酬改定】

小児抗菌薬適正使用支援加算とは?
タマコ
タマコ
なんか薬歴の算定要件に、抗菌薬を適正使用を啓発しなさい的なことが書いてありますけど・・・
プジキ
プジキ
抗生剤の使い過ぎによる薬剤耐性菌を減らすためだよ!

2018年度から病院側の加算として新設される『小児抗菌薬適正使用支援加算』という要件がある。

点数

小児抗菌薬適正使用支援加算: 80点(新設)

 

この加算自体は病院側の新設要件なので薬局には関係ないんだけど、抗菌薬の適性利用を指導することが薬歴管理料を算定するために必要になりそうだ

というのも、個別改定項目の資料の中に書いてある「抗菌薬の適性使用の推進」の部分に、こんな内容が書いてあった↓

再診料の地域包括診療加算若しくは認知症地域包括診療加算、地域包括診療料若しくは認知症地域包括診療料、薬剤服用歴管理指導料又は小児科外来診療料若しくは小児かかりつけ診療料を算定する場合は、抗菌薬の適正使用に関する普及啓発に努めていること及び「抗微生物薬適正使用の手引き」に則した治療手順等、抗菌薬の適正使用に資する診療を行うことを要件として追加する。

簡単に言うと、「薬歴料を取るなら抗生剤の適性使用を指導しなさい!その根拠は手引きを見てね!」ということ。

 

『小児抗菌薬適正使用支援加算』の算定要件の他、手引きとはどんなもので中には何が書いてあるのか、どんな指導をすればよいのかなど、今まで通り薬歴料を算定するためのポイントも併せてまとめていくので参考にして欲しい。

 

小児抗菌薬適正使用支援加算の算定要件は?

 

算定要件

急性上気道感染症又は急性下痢症により受診した小児であって、初診の場合に限り、診察の結果、抗菌薬投与の必要性が認められず抗菌薬を使用しないものに対して、抗菌薬の使用が必要でない説明など療養上必要な指導を行った場合に算定する。

なお、基礎疾患のない学童期以降の患者については、「抗微生物薬適正使用の手引き」に則した療養上必要な説明及び治療を行っていること。

 

施設基準

感染症の研修会等に定期的に参加していること。
病院においては、データ提出加算2を算定していること。

病院側の加算なので、算定要件はあっさり紹介して終わりっ!

 

抗生剤適性使用の指導が要件に加えられた背景は?

これは、2018年に出された個別改定項目の資料に書いてある↓

基本的な考え方

薬剤耐性菌対策は国際的にも重要な課題となっており、様々な対策が進められている。外来診療等における抗菌薬の適正使用に関する患者・家族の理解向上のため、地域包括診療料等及び薬剤服用歴管理指導料について、以下のように見直す。

ようは、抗生剤を使い過ぎで耐性菌が問題になっているということだ。そこで、厚労省が本気を出してきたというわけですな。

 

薬剤師なら当たり前のように知っていることだと思うけど、風邪に抗生剤は必要ない。 それなのに、風邪に対して抗生剤が処方されることは、まだまだ一般的ですね。

 

あと、患者側の意識としても、『風邪=抗生剤』と思っている人はたくさん存在する。

風邪と診断されて抗生剤が処方されていないと、「あの医者はヤブだ!」と勘違いでガチ切れしてくる人もいるもんだから、困ったもんです。

むしろ、抗生剤を出さないことで、お金と体の負担を軽減してくれている良いお医者さんなのに。

 

「抗微生物薬適正使用の手引き」の内容とは?

抗菌薬の適性使用を進めることを目的に、『急性気道感染症』と『急性下痢症』の場合に、抗菌薬を投与すべきでないケースがフローチャートになって具体的に紹介されている。

※急性気道感染症は「風邪」や「インフルエンザ」、「肺炎」など気道や呼吸器系で発生する感染症ですね。 急性下痢症は、名前のとおり急な下痢。

抗菌薬を使用する判断材料となる使える資料で、無料公開してくれているんですな! そんな服薬指導にもお財布にも優しい資料はコチラ→:抗微生物薬適正使用の手引き 第一版

 

これ、クリックした人は分かるだろうけど、、、

 

51ページもある。

 

ひたすら文字が書きつづられて、パッと見た印象はとーっても読みにくそう。

しかーし!めんどくさいと思った人に朗報です。

 

ダイジェスト版もあります。

 

厚労省側も、読むのがめんどくさがる人がいることを見透かしてたんでしょうねー。 コンパクトにまとめられた資料はコチラ→:抗微生物薬適正使用の手引き 第一版(ダイジェスト版)

 

ダイジェスト版は5ページと、本家の1/10にまで凝縮されてるではありませんか!

どちらも読んだプジキとしては、①まずはダイジェスト版でポイントを押さえ②完全版を復習がてらじっくり読むというのが良いのかなぁと。

 

服薬指導、薬歴はどうればよい?

さて、この「抗微生物薬適正使用の手引き」をどのように服薬指導や薬歴にいかしていくのか。このあたりも全て手引きを参考にすればよく、以下にポイントをまとめる。

まず、気道感染症と下痢症のそれぞれに対して、抗菌薬をどんな時に使うのか、フローチャートが載っているので抜粋してみる↓

抗菌薬_気道感染症の診断・治療手順

ほとんど抗菌薬が必要ないやん!!

 

つづいて下痢症↓

抗菌薬_下痢症の診断・治療手順.jpg

ほとんど抗菌薬が必要ないやん!!(2回目)

 

ってことで、ほとんどの場合に抗菌薬が必要ないんですね。

抗菌薬が必要になるケースとしては、「症状が激しい(38度以上の高熱、痛みがヤバい、バイタルサインの異常値)、海外渡航歴有り」の時に必要になる場合があると押さえておこう。

 

続いて、患者に対する指導内容として厚労省側が想定される対応方法がコレ↓

抗菌薬_患者への説明対象は医師を想定してある

服薬指導で考えられるシチュエーションとしては、風邪で抗生剤が出てないときに質問されるケースだと思うので、こんな返しをすれば良いでしょう。

  1. 先生から風邪と言われましたか?
  2. 風邪はウイルスが原因の場合がほとんどで、抗生剤は効果がありません。
  3. 風邪の特効薬は休息です。食事と睡眠をしっかりとりましょう。

 

そして、この内容をSOAPに散りばめればOK。 ・・・まぁ、今までもこの対応はしてますよね(汗

 

あとは、何も質問されなかった患者に対しても、手引きにある根拠を踏まえ「抗菌薬が不要ですよー」という流れをSOAPに明記する。

■SOAPの「O」と「A」

『O』:風邪症状。熱:37.5度、鼻水・咳軽度あり。

『A』:症状より抗菌薬不要と判断。

 

まずは、手引きのダイジェスト版だけでも良いので、中身をザっと把握して、2018年4月からと言わず、明日からでもさっそく取り入れてみてくださいー! 服薬指導の深みがぜったいに増すからね!

 

[参考]2018年の調剤報酬改定内容の全体を確認したい方は、こちらの記事にまとめてあります。

2018年度_調剤報酬改定_メイン
【2018年】調剤報酬改定の総まとめ!新設項目は?変更点は?算定要件は? 医療業界の人にとっては2年に一度やってくるお祭り、、、そう、、、 調剤報酬(診療報酬)の改定です。...

抗菌薬の使い分けに参考資料や参考本

※2018年3月15日追記

薬剤師向けに抗菌薬の使用方法に関する知識を修得するために、「これは良いぞ!」というパワポのスライドを見つけたので、皆さんにもシェア!

 

これ、10分もあれば読めるので、ぜひ内容を確認することをおススメする。菌種の覚え方から抗生剤の基本的な考え方が網羅されているので、一読の価値しかない。

圧倒的な情報を無料で公開してくれるとは、ホント使わない手はない!何度もうっとうしいでしょうけど、ご一読を!ほんとおすすめ!

 

他に抗生剤を勉強する方法としてはこんな本もあるので、興味があればチェックしてみて下され。

 

抗菌薬の導入本として、読みやすい本。この、「ねころんで~」はシリーズ化されていて、抗菌薬はシリーズ3まで(2018年3月時点)でている。ちなみに、シリーズを重ねるごとにタイトルがどんどんねころんでいくw

 

これは薬剤師向けというか、一般向けかなぁと思っている書籍。感染症がキャラクター化されていて、一般の人にも受け入れやすそうなので、待合室とか投薬時の補足資料てきに使うと良さげ。

 

すこし毛並みが変わるけれど、小児の服薬指導に最強の書籍がこれ。抗菌薬の説明もあるけれど、それ以上に小児の対応に関してノウハウに説明がすさまじい。著者は日経DIでコラムも書いているだけあって、網羅的にまとめられている。

小児の服用量の早見表とか、『苦い薬の飲ませ方』という知識が服薬指導へすぐに使えているので、興奮しておススメしてしまいましたw

 

追記:添付文書に抗生剤の使い方が追記されることが決まりました

(2018年3月28日追記)

抗生剤の添付文章の「効能又は効果に関連する使用上の注意」の項目へ、次の文言が加えられることが決まったと、PMDAのサイトで告知されていました。(使用上の注意改訂情報 平成30年3月27日

「咽頭・喉頭炎、扁桃炎、急性気管支炎、感染性腸炎、副鼻腔炎への使用にあたっては、「抗微生物薬適正使用の手引き」を参照し、抗菌薬投与の必要性を判断した上で、本剤の投与が適切と判断される場合に投与すること。」

 

抗生剤の適性使用に関する手引きを確認しておく重要性はますます高まりそうなので、早めに(ダイジェスト版でいいから)確認しておくことがマストですね(汗

 

薬局に関する勉強に便利なサイト

上記のPMDAの通達など、医療情報をなるべく早くキャッチするために必要がある。「どうやって、最新情報を集めれば良いの!?」と困っているあなたに、薬局関連の情報収集・勉強に便利なサイト『m3』もちょっとだけご紹介。

m3は、薬局に関連性のある最新情報を国内外問わずにまとめて確認できるため、効率的に知識を補えるので助かっている。

 

一例ですけど、こういった情報が毎日更新される↓

m3_サンプル

こう、非常に興味をひかれるコンテンツが豊富。それで、毎日更新される。 なので、毎朝の通勤時間でサッと記事のタイトルだけ見ておけば「え、知らないの?」といった取り残されるリスクが無くなる。※アプリがあるので便利。

 

閲覧するためには登録が必要なんだけど、お財布にやさしく登録費が無料。登録時に入力する内容は名前とか生年月日などで、「1分」あれば登録ができる。

なので、登録するか悩むぐらいなら、その悩んでる時間で登録完了する

 

あと地味に嬉しいのは、サイト内の勉強動画を見ると『m3ポイント』なるものが貯まり、『Amazonギフト』と交換できる。情報収集しながらお小遣い稼ぎできるのが一石二鳥。

 

他の薬剤師向け情報サイトでは有料登録しないと読めないネタが、m3で掲載してることもあるので、登録して損は無いというか、「使わないのが損」な貴重なサイト。

すべての薬剤師に自信を持っておススメできるので、他の薬剤師に差をつけられる前にぜひ活用してみてください(و`ω´)و

公式サイトm3

 

【質問】薬剤師としての価値を高めるには?

 

【答え】継続的な勉強

2019年5月に厚労省が出した薬剤師の需要と供給についてのレポートをご存知ですか?

これ簡単に言うと『すでに薬剤師が余り出している』という内容が書いてある。需要を上回る数の薬剤師がいるそうだ。

 

突然ですが、最近の新卒の採用事情はご存知ですか?

調剤薬局やドラッグストアは、昔はそれこそ薬剤師の資格を持っていれば即採用というぐらい簡単でした。

でも今はちがう。優秀な成績の薬剤師に絞り始めていて、成績が悪い薬剤師は採用しない

この流れが、じわじわと中途採用にも来ています。なぜそんなこと分かるかというと、これでも薬剤師の採用を担当してますから、動向はチェックしてるのです。

 

薬剤師が飽和していく未来に対し、すこしでも質を高めて需要の高い人材となるため、ぜひ日々の勉強に役立ててください(و`ω´)و

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